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多くの民族伝承や、神話では
兄弟姉妹が喧嘩をすると、「弟(妹)が兄(姉)に勝つ」結果になります。
愚かでバカにされていた弟(妹)が、兄(姉)を見返して幸福になるというものです。
有名なところでは、海幸彦・山幸彦の話ですが、蛇聟入や、三人兄弟など他にも色々あります。
ちょっとした変化球では、八十神と大国主命の話もそうでしょう。
なぜそういった昔話が多いのか。
私は、古代の日本において末子相続であったことに起因しているのではないかと考えています。
日本は四方を海で囲まれた土地です。ですから、漁村が多く漁業が発達していました。
そして漁村の多くでは、この「末子相続」が基本でした。
それは、長子は年頃になると海に出て漁を行いますが、今の漁業以上に危険を伴うものであり
家督を継ぐ長子が死んでしまう事も少なくありませんでした。
それなら、最初から末子に相続した方が家督が安定する・・・・・・というわけです。
「弟(妹)が兄(姉)に勝つ」という昔話は、要するに末子を大切に扱う一つの教えのようなものではないかと思うのです。
伝承や神話に出て来る弟(妹)は、目立たなくても地道に努力を続ける性格である事が多い。
つまり、これらの伝承は、兄弟姉妹のあるべき姿を示す教義であったのではないでしょうか。
そういった土着の教義が神話にも取り入れられたものだと、私は考えます。
現在では家督制度が廃止され、相続は平等に行われるように民法で規定されています。
しかしながら、現在でも長男が家を継いだり、「長男なんだから」という因習は続いています。
これらの歴史は浅く、明治時代の長男相続制によるものです。